こんにちは。
Bijo-Labo総合プロデューサーの野本麻紀子です。
私はパーソナルトレーナーという仕事を専門で始めるよりも前から、子どもの走り方教室を続けています。
始まりは、ある体育大学の試みのひとつだった「かけっこ教室」のお手伝い。
そこから個人でも不定期にクラスを開催するようになり、気づけばもう20年以上。
これまで、本当にたくさんの子どもたちと一緒に走ってきました。
20年前に教えていた生徒さんが大人になり、今では小学生になった自分のお子さんを連れてきてくれることもあります。
これだけ長く続けられていることがとてもありがたいですよね。
そして今でも、とてもよく覚えている女の子がいます。
小学5年生の頃、
「クラスで一番走るのが遅いんです」
という状態で、私のところへやってきました。
でも、練習を重ねて6年生ではリレーの選手に。
そして、その5年後。
彼女はインターハイで活躍する選手になっていました。
「走るのが遅い子」だったはずの女の子が、
いつの間にか、
「走るのが速い人」
になっていたんです。
私はこの仕事を長く続けてきて、1万人以上の子どもたちを見てきました。
もちろん、その後どうしているのかわからない子の方が圧倒的に多いです。
でも、ときどき思います。
みんな元気かな。
あの日、一緒に何度も何度も走ったこと。
最後のタイム測定でテンションが上がりすぎて、
「もう一回!」
「もう一回!」
と、へとへとになるまで走ったこと。
少しでも覚えていてくれたら嬉しいな、と。
そして2026年。
私も20代から40代後半に。
それでも小学生たちと一緒に走りながら指導できていることは、本当にありがたいことだと思います。
健康って素晴らしい。
できることなら、今現在教えている子どもたちが、いつか自分の子どもを連れてきてくれるくらいまで続けたいと思っています。
さて。
そんな走り方教室で、私は保護者の方に必ずと言っていいほどお話しすることがあります。
実はこれ、子どもたちに教えている「速く走るための理論」より、大切だと思っていることです。
それは、
子どもの可能性に、大人が先に答えをつけないでほしい。
ということ。
「あなたは運動が苦手だから」
「走るの遅いもんね」
「走り方が変だよね」
冗談でも、愛情を込めたつもりでも、可愛くって可愛くって思わず、、だとしても私はできるだけ言ってほしくないと思っています。
そして、もうひとつ。
とてもよく聞くのが、
「ママも運動苦手だったから」
「パパも足が遅かったから」
「運動神経悪いの、遺伝だね」
という言葉です。
大人にとっては、何気ない一言です。
でも、小さな子どもにとって、お父さんやお母さんの言葉はとても大きい。
「あなたは走るのが遅い子」
と言われ続ければ、
自分はそういう人なんだと思うようになってしまいます。
「ママも苦手だったから、あなたも苦手」
と言われれば、
「私はママと同じだから、きっとできない」
と、挑戦する前から自分の可能性を狭めてしまうかもしれません。
だから私は、子どもに
「ママは子どもの頃どうだった?」
と聞かれたら、
「ママ、めちゃくちゃ走るの得意だったよ!」
って言ってくださいって伝えてます。
たとえ実際は苦手だったとしても(笑)。
大きくなってから、
「実はママ、全然速くなかったんだけどね。あなたに先入観を持ってほしくなくて、得意なふりしちゃった」
と笑って話せばいい。
もしその言葉のおかげで、
「自分は運動が苦手」
と決めつけることなく、何度もある体育の授業や運動会を楽しめたとしたら。
私はその方がずっといいと思っています。
そもそも「運動能力」は、ひとつの能力ではありません。
走る、跳ぶ、投げる、バランスを取る、身体を思った通りに動かす。
そこにはさまざまな要素があり、遺伝だけですべてが決まるような単純なものではありません。
育つ環境、経験、練習、身体の使い方、そして何より、
「自分にもできるかもしれない」
と思えること。
私は20年以上子どもたちを見てきて、この力はとても大きいと感じています。
だから走り方教室では、私は子どもたちの良いところを、とにかく探します。
「今の腕の振り、すごく良かった!」
「さっきより速い!」
「今のスタートめちゃくちゃいい!」
「それ!できてる!」
そうやって声をかけていると、1時間半走ってもうヘトヘトのはずなのに、
「もう一回走る!」
となる。
そしてタイムが縮む。
また嬉しくなる。
もっと走りたくなる。
最後のタイム測定では、何度も何度もチャレンジする子がほとんどです。
それを見ながら、涙を流して応援してくださるお父さん、お母さんもいます。
そして、頑張ってタイムを縮めて、大好きなお父さんやお母さんに褒められたとき。
子どもたちの顔って、本当にキラッキラになるんです。
あの顔を見るたびに、
人って「できた」という事実だけで成長するんじゃないんだな、と思います。
「できたね」
「すごいね」
「頑張ったね」
それを誰かに認めてもらった経験が、
「じゃあ、もう一回やってみよう」
につながる。
そして、その「もう一回」が積み重なって、本当にできることが増えていく。
私はこれ、子どもだけの話ではないと思っています。
ダイエットも、トレーニングも、仕事も同じです。
「私は太りやすい体質だから」
「昔から運動が苦手だから」
「もうこの年齢だから」
「私って続かないタイプだから」
大人になると、今度は誰かに言われなくても、自分で自分にこういう言葉を使うようになります。
でも、それって本当に事実でしょうか。
もしかしたら、ずっと昔に誰かから言われた言葉を、自分の性質だと思い込んでいるだけかもしれない。
過去に一度うまくいかなかったことを、
「私はこういう人」
と決めてしまっているだけかもしれない。
だから私は、大人になってからも、
自分の可能性に、自分で先に答えをつけないこと。
これはとても大切だと思っています。
ただがむしゃらに頑張るのではなく、正しい方法を知る。
やってみる。
少し成果が出る。
嬉しくなる。
誰かに褒めてもらう。
もう少しやってみたくなる。
そして、また成果が出る。
子どもたちが走り方教室で見せてくれるこのサイクルは、私が普段お伝えしている体づくりの良いサイクルと本当によく似ています。
だから何かに挑戦するときは、
身近な人に、
「私ちょっと頑張るから、変わってきたら褒めてね!」
と宣言してしまうのもおすすめです。
そして、身近な誰かが何かを頑張っていたら、
小さな変化でも、ぜひ言葉にしてあげてください。
「変わったね」
「頑張ってるね」
「前より良くなってるよ」
たったそれだけの言葉が、思っている以上に人の力になることがあります。
逆に、
「どうせ無理」
「あなたはそういうタイプだから」
「昔から苦手だもんね」
そんな何気ない一言が、その人の可能性に蓋をしてしまうこともある。
子どもでも、大人でも同じです。
人は何歳からでも変わります。
だから、
その人の未来を、過去のイメージだけで決めつけない。
そして、自分自身の未来にも、先に答えをつけない。
20年以上、たくさんの子どもたちと走ってきた私が、
46歳になった今、改めて思うことです。
今年も運動会シーズン。
どこかで一生懸命走っている子どもたちに、
「あなたは足が遅いから」ではなく、
「思いっきり走っておいで!」
そんな言葉がたくさん届いたらいいなと思います。